はじまりの刻

第5回 瀬戸内国際芸術祭出品(香川県土庄町・小豆島)


制 作2022年

素 材:陶、鉄、植物、GRC(繊維補強セメント)
サイズ:H390×W230×D230cm  3800kg


己の記憶は朧げにはじまり

いつの日か
この世に存在していることに気づく
 

人間世界と同様の営みが
この卵の中で繰り返される
 

少しの割れ目にも 小さな大地にも
植物たちは子孫を残し

懸命に生きようと 右往左往する
 

決して環境が良いわけではない
根性がすわっているわけでもない

ただそこに居合わせただけの奇跡
 

この世の全ては一期一会
その時 その瞬間の出来事
 

いまは はじまりのとき

作品解説


この世の万物は生まれた瞬間から死へのカウントダウンがはじまっている。

  

今我々が生きているこの世界はある一瞬にすぎない。
そんな儚い命は奇跡的な出会いにより生まれる。

  

この卵の割れ目にも植物たちは活路を見出し、懸命に芽を出そうとしている。

 
その姿は人間の世界と共通の命の物語である。

 
大きな卵は夕陽を浴びて赤く染まり、島と共に呼吸し、生命の象徴としてしばらくこの世に存在する。